社長挨拶
魅力ある地域を創造する
代表取締役社長 松尾倫男
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行し、感染対策は個人や事業者の判断にゆだねられるようになりました。人の流れが元に戻り、経済活動も活発になっています。政府観光局の発表によると、2023年1月から半年間の訪日客は累計1,071万2,000人となり、4年ぶりに1千万人を突破しました。このことは人の流れが世界的に回復してきている証左ではないでしょうか。
一方で、地域や人々の日常に目を向けると明るい話題ばかりではありません。ウクライナ侵攻に端を発したエネルギー危機や、円安による物価高騰は市民生活に大きな負担を強いています。
また、コロナ禍によって東京一極集中を続けてきた日本の潮流に変化が生じましたが、そうした中で予測されるのが全国各地での人口維持対策、少子化対策による地域間競争の激化です。加速度的に人口が減る中、若者の県外流出をどう防ぐのか、従業員の健康や働く環境をどう良くするのか、「商品を買ってみたい」、「就職して働いてみたい」と思われるような魅力は何か、我々新聞社は地域の将来像を考え、描き、実現するために必要なことや課題の解決策を読者に示さなければなりません。
山陰中央新報は2022年に創刊140周年を迎えました。取材拠点は山陰両県に16か所と東京、広島にあり、国政や地方政治の状況、経済・産業分野やエネルギー政策、さらにスポーツや文化、地域活動の報道を通して、課題の指摘や提言を続けています。23年8月に電子版「山陰中央新報デジタル(Sデジ)」をリニューアルし、随時アップするニュースを増やすほか、ニュースやスポーツ結果の速報を充実させ、新聞紙面と両輪で地域 密着ニュース・情報の発信を強化しています。料金プランも一新し、新聞を購読していない方向けにデジタル単独のプランを設けました。また、5月に本社の編集局、編成局のフロアを改装し、働きやすいレイアウトや洗練されたデザインに一新しました。外国の新聞社をイメージした明るい雰囲気の内装で、社員間のコミュニケーションを強化し、より質の高い紙面づくりにつなげていきます。
地域のリーディングカンパニーとして人口減に真っ向から立ち向かい、 若者が多く暮らす元気に明るい地域をつくる責任が我々にはあります。 出雲市の中心市街地で進める開発事業「出雲プロジェクト」を始動しました。第1期でスターバックス店舗、第2期で複数の商業テナントを誘致し、 行政、地元経済界と連携して魅力あるまちづくりを進めます。
新聞の使命は、権力の矛盾を正し、弱者に手を差し伸べ、人々の自由と民主主義を守ることです。地域の皆さんと共に考え率先して行動する新聞社として、わたしたちはこれまで以上にデジタル化を加速し、より早くより身近に価値ある情報を発信し続けていきます。